さて、ここで質問。最初に、小さな無数の星があり、お互いに重力で引き付けられているなら、最終的には一個の巨大な星になってしまうと言う気がしないだろうか?現在ある太陽系のように、9個の比較的大きな固まり(=惑星)が残るのはなぜだろうか?その理由は重力は引き付けあう力の他に、跳ね返す力ももっているからである。その跳ね返す力のおかげで、ある程度大きな固まりが出来てくるとお互いに衝突しにくくなる。シューメーカーレビー彗星と木星の衝突だって、彗星が木星の重力に引き付けられたと言うよりも、太陽の回りを回る彗星と木星の軌道がたまたま交差した、という方が正しい(まあ、勿論、交差するようになったのは、木星の重力のせいではあるわけだけど)。重力が跳ね返す力をもっているなどおかしいと思うかもしれないが、本当のことである。例えば、月と地球を考えよう。月と地球は重力で引き付けあっているのに、決して衝突しない。それは、月がもっている速度が十分速くて、地球の重力に打ち勝っているからだ。速度がもっと遅ければ、月は地球に引き付けられてもっと地球に近い(=低い)ところを飛ぶことになる。もっと、遅くなるとそのうち、地球に落ちてくる。つまり、衝突。では、逆に、月の速度が現在の月の速度より速かったら?もっと「高い」ところを飛ぶだろう。もっと、もっと、速かったら?きっといつかは地球の重力に打ち勝って飛んでいってしまうだろう。
で、今度は、地球からずっと遠くにあるがそれでも地球の重力によって引き付けられている小さな星を考えよう。その星は、地球の重力のせいで地球に向かって徐々に速度を上げながら近付いてくる。で、その小さな星はいつの間にか速度が速くなり過ぎて地球の回りを回ることさえできない速度にまで加速してしまったことに気付く。そして、(速度が上がり過ぎた時の月の様に)地球から去っていく。
嘘のような本当の話し。結局、速度の速過ぎる星は地球に近付くことができない=跳ね返す力が働いている、というわけだ。これを応用して宇宙船を加速する方法が フライバイと呼ばれる方法である。