我々が中学や高校でいわゆる「理科」を習うとき、生物と地学(天文)は別の独立な学問として教えられた。生物は単細胞生物に始まり、次第に複雑な多細胞生物となり、その頂点に我々が立っていると。また、惑星や恒星は宇宙の長い歴史の中で次第に進歩してきたものであり、そうしてでき上がった地球という惑星が「たまたま」生物が発生するのに都合が良かったため、 生物が発生した、というように。
最近の研究で解ってきたことは、これは必ずしも正しくなく、地球と生命は共生進化とでもいうべき関係を持ちながらともに進化してきた、という見方の方が正しいという考え方である。。生命は最初、大気圏外からやってくる 有害な放射線から守られた深海の中で発生した。そのままだったら、地球は決して生命に満ちあふれることはなく、死んだ星のままだったろう。しかし、ここに生命の進化を可能ならしめるために、有害な放射線から生命を守るための2つのバリアーが形作られることになる。その一つは地球自らが作ってくれた贈り物とでもいうべき 地球磁場。これが約27.5億年前にでき上がった。この磁場のおかげで有害な 放射線の一部が遮られて弱区なり、生命は海辺の浅海にまで進出できるようになった。もう一津のバリアーは浅海に進出した生命自らが作理上げ他バリアー、 オゾン層である。このオゾン層は約4億年前にできあがったが、このオゾン層の完成により宇宙からやってくる有害な放射線や紫外線は完全にさえぎられるようになり、生物はむき出しの地上に進出できるようになった。そして、この陸上に進出した生命の進化の行き着いた最後の形態の一つが我々、人類なのである。この様に、生命の進化と地球の進化は決して切り離すことができないというのが現在の生命観である。[目次へ戻る]