インタラクティブ・サイエンス・コラム

 昔、あるクイズ番組で「サケは卵を○○万個生みますが、このうちどれくらいが大人になるでしょうか?」というクイズがあった。回答者の答えはまちまちだったが、よく考えると答えは「2、から3個」に決まっているのだ。つがいの2匹の鮭からそれ以上の子供が育ったら、鮭の数がどんどん増えてしまう。鮭の個体数が安定しているためには親の数以上に子供が成熟してはいけないからだ。  いま、人類はこの法則を大きく破っている。ちょっと前までは10人子供を生んで2人しか大人にならず、その過程で弱いものは淘汰され、多少の気候変動に耐えられる逞しい個体だけが生き残った。いまは、豊かな生活を維持するため、少ない子供を生み、淘汰することなく全て成長させている。これがどのような結果を生むのかは未知数だ。