人間の大脳の働きは解っていないが、大脳を構成する神経細胞=ニューロンの働きは解っているので、個々のニューロンの働きは仮定して、それをたくさん集めたら何が起きるだろうか、ということを研究することにより大脳の動き=知性、記憶、etc.を解明しようと言うのがニューラルネットである。ニューラルネットではニューロンは「興奮状態」と「鎮静状態」の2状態を持つ2値の素子としてモデル化される(現実のニューロンも興奮/鎮静状態を持つ)。「興奮」しているニューロンはつながっている他のニューロンに信号を送る。個々のニューロンが興奮するかどうかは、そのニューロンにつながっている他のニューロンからの信号強度の合計がある値以上であるかで決まる。個々のニューロンは全く等価であるから、ニューロンの集合(=ニューラルネット)が複雑な挙動を示すのは個々のニューロンのつながり方が複雑であることだけによっている。
現在までのところ、このやり方で説明できたのは小脳の一部の機能だけであり、肝心の大脳皮質の機能はまだ説明できていない。最近の傾向としては大脳の研究に役立てると言うより、工学的な応用が目指されているようである。ニューラルネットを組み込むと割と簡単に機械に複雑な挙動をさせることができるのである。Neotericsはこのニューラルネットを用いた疑似知性を備えた虫の進化のシミュレーションである。