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インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル
1997/09/06号 (不定期刊)
本日のお題:カルマン渦
カルマン渦って聞いたことがあるだろうか。カルマン、というのは人の名前らしい。理工系の学部に行くと必ず習う(といっても学生は卒業するころまでにはきれいに忘れ切っているものだが)のだが、カガクなんて聞いただけで身の毛がよだつ、なんてタイプの方には当然、なじみが無いとは思う。ところがどっこい、カルマンさんのみつけたこの渦は結構、僕らの身近に満ちあふれている。
まずは、カルマン渦を体験。水のいっぱい入ったたらいとか、風呂おけなどの水面に箸(割りばしでいい)をまっすぐに立てて箸の半ばくらいに水面が来るようにする。そして、この箸を勢い良くぐっと動かす。すると、箸の後ろに小さな渦が出来るはずだ。これがカルマン渦である。「なんだばかばかしい。そんな下らんことを説明するためにこんなものを読まなくていいよ。もうやめた」というなかれ。もうちょっとつきあってくれ。
子供のころ、よく、棒を振り回して遊んだことがあるだろう?その時、細い棒を勢い良く振ると「ビューッ」と音がしたよね?(まあ、今だってやれば音がするだろうけど、みんなもう大人になったからやらないわけだ)あれが実はカルマン渦の音なんだ(だと思う。「今さら流体力学?」(丸善:木田重男著)って本には少なくともそう書いてあった)。「渦に音なんかあるか?」と思うかもしれないが、このカルマン渦というやつ、一定の時間間隔で出来る性質がある。例えば、棒を振ると0.1秒おきに棒からカルマン渦が飛び出す、とかいう風に。さて、音ってなんだろう?空気の規則的な振動、だよね?カルマン渦が棒から規則的に飛び出せば、なんらかの形で空気を振動させる。もし、カルマン渦が一定の間隔で飛び出せばこれは空気が規則的に振動することになる。これは音に他ならない。
但し、人間が聞くことができる音の周波数は限られていてどんな音でも聞こえるというわけではない。だから、棒を振って音を出すときもちょいどよい速度で棒を振って始めて人間の耳に聞こえるような周波数の振動になって音になって聞こえるってわけだ。
実際には、棒が動くんじゃなくて、止まっている棒に強く風が吹き付けても構わない。よく風が強い日なんかに電線が鳴っていることがあるだろう?あれって要するに電線からカルマン渦が規則正しく飛び出していて、しかも、ちょうど、人間の耳に聞こえるような振動数なので電線が鳴っているように聞こえるんだ。ああ随分長くなったね。もうそろそろおしまいにしよう。言葉だけじゃ解りにくいだろうから、この下に書いてあるurlをブラウザで開いていろいろ見てみたらどうかな?カルマン渦の写真なんかあると思うよ。じゃあ。また。
カルマン渦:<-ここをくりっく!
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