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=== Interactive Science Column Mail ==================================
インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル
1998/1/6号 (不定期刊)
本日のお題:たんぱく質の折り畳み
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あけましておめでとうございます。おかげさまで本メールマガジンはまぐまぐ読者数ランキングで全1500誌中300位程度の好成績(?)を納めました。創刊順序からいうと746番目とちょうどまん中くらいの順番でしたから大健闘(?)というところでしょう。講読者は多い方が励みになります、やはり。皆さん、勧誘よろしく^^;)。なお、ある読者の方からはホームページ年賀状も頂きました。ありがとうございました。
さて、本題。1/5付けの朝日の夕刊科学面に、いろいろな大きさの四角形を重ならないようになるべくコンパクトに詰め込むには、という問題の素早い解法について解説が大きくのっていたのに目を止められた方がおありだったろうか?ここで使われている手法(シミュレーテッド・アニーリング)は昔からある手法で必ずしも新しくは無い。しかし、こういう問題には決定的な解法が無く、解法の研究がいろいろ試行錯誤されているのも事実である。
さて、ここでいう「こういう問題」とはどんな問題かと言うと、時間さえかければ誰にでも解けるが、この「時間」というのが、とてつもなく長くかかるような問題である。朝日の記事で取り上げられた「いろいろな大きさの四角形をなるべくコンパクトに詰め込む」という問題もありとあらゆる置き方を試すことができればもっともコンパクトな置き方など簡単に解るのだが、記事にも書かれていたように総てを試すとなると「宇宙の年齢よりも長い時間がかかる=不可能」である。
この「こういう問題」とはつまり、一般的な意味でのパズルだと思っていただければいいだろう。「いろいろな大きさの四角形をなるべくコンパクトに詰め込む」という問題も見方を変えれば、「いろいろな大きさの四角形を与えられた枠の中に隙間なく詰め込む」というお馴染みのパズルの変型版に他ならない。この様なパズルには3×3の9枚の板に絵が書かれていてそれをスライドさせて動かしながら、絵を完成させる絵合わせのパズルや、一番奥にある大きなブロックを外に出す箱入り娘、などがある。これらの共通の特徴は答えを見せられれば誰にも疑問なく答えだと解るのに当てずっぽうで適当にやっても滅多に正解にはたどりつかない、という点にある。こういうパズルを解くには頭を使ってやってみるしかないが、我々の身近にそんな難しいパズルを頭を使わずに楽々と解いているものが、実は、ある。それはなんで、どんなパズルを解いているのだろうか?
パズルを解いているのは「全生物」、解いているパズルの種類はたんぱく質の折り畳み、である。このメイルマガジンの読者なら少しはお聞きになったことがおありかとは思うが、人間の遺伝情報はDNAというヒモ状の分子に書かれており、それをアミノ酸の配列(=タンパク質)に置き換えることにより、生物の体が作られている。この点について例外のある生物はいない。地球上の生物は単細胞生物から人間まで全てこの条件を満たしている。ところが、生物の体は別にヒモ状の分子で出来ているわけでは無く、タンパク質は生物になるためには折れ曲がってある特定の形をとらなくてはならない。さて、問題はまっすぐのヒモから出発してある特定の形の曲がったヒモにどうやってたどりつくか?である。ヒモにはどう曲がれ、とは書かれていないので試行錯誤で「正解」を見つけなくてはいけないはずだが、御多分にもれず、この「パズル」も試行錯誤で解くには宇宙の年齢より長くかかってしまう。勿論、宇宙の年齢より長くかかっていたら地球上に生物など存在するわけは無いのである。
単なるヒモ状の分子に過ぎないタンパク質が人間にも難しい「パズル」を楽々と解いているその仕組みはいまだもってよく理解されていない。しかし、これが生命の神秘などと言うオカルト的な結論に結びつくとは誰も思っていない(少なくとも、科学者は)。ただ、いくら人間が賢くなったつもりでいても、単細胞生物(の一部分)さえやすやすとやっていることをうまく理解できていないのだ、という事実の前には謙虚になるべきだろう。まだまだ、科学のネタはつきないのだから。
#毎日新聞1/6付朝刊をお持ちの方、21面「究める」を御覧ください。
#すました僕が見られます。
○インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル1998/1/6(購読者:912名)
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