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=== Interactive Science Column Mail ==================================
     インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル
           1998/1/25号 (不定期刊)
     本日のお題:雪の結晶I
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  先週、先々週と首都圏は大雪に見舞われた。先週の雪は先々週の雪に輪をかけた大雪で、私が住んでいるところでも30cmくらいの積雪があった。大雪の次の日の朝(1/16)に街の中をバスで移動しているとき窓外に見えた風景はまるでスキーに行ったときに朝、宿からバスでスキー場まで移動するときの町並みの姿そのものだった。降り積もった雪は美しい。その美しさはその白さからくる。降り積もった雪はなぜ、こんなにも「白い」のか?
 有り体に言って「白」などという色は本当は存在しない。白、とは無色のことである。「そんなバカな。無色ってのはガラスみたいな『無色透明』のことではないか」と思うかも知れない。しかし、よく考えてみてほしいのだが、何かが「透明」であるということはその向こうに何かがあって初めて認識できることである。もし、向こうに何も無いところに「透明」なガラスがあったら何が見えるだろうか?何も見えないのである。だから、ガラスが「透明」だということも我々には解らない。透明、は無色では無い。
 「そうは言っても白はやはり『色』ではないか。無色とは言えない」と思うかも知れない。じゃあ、白い色とはなんだろうか?一般に、何かがある「色」をしている、ということはその物体が光の一部を吸収してしまう、ということを意味する。「赤い物体」とは赤い以外の光を吸収してしまう物体のことだ。だから、白い光を赤い物体にあてても、赤以外の光は反射しないので跳ね返ってくる赤の光だけが目に入って「ああ、この物体は赤い」と思うことになる。
 そう、白い物体、はどんな色の光も吸収しない。つまり、全ての色が反射されたときに見える「色」が「白」なのだ。太陽からの光をプリズムで虹色に分けたことがみんなあると思う。白、とはつまり、どの色でもないもの、すなわち「無色」なのである。これが「白とは無色」ということの意味だ。考えてみよう。人間はなぜ、白を白と感じるのか?人間といえども進化で出来上がった生物には違いない。人間の祖先が初めて「目」を持った時、目が感じることができる全ての光を含む光を「白」と感じるようになったに違いない。御存じの様に人間の目は全ての光を見ることができるわけではなく、ある特定の色の光しかみることができない。これが虹の七色なわけだが、その目に見ることができる光が全て入っているのが「白」なのだ。白、それは人間が見ることができる基準となる光である。つまり、白は無色。
 さて、話を雪に戻そう。なぜ、雪は白いのか?それは雪が人間の目に見える全ての光を反射するからだ。目に見える光全て、というより、人間には見えない光もきっと反射しているのだろう。単なる白、は人間にしか白に見えない。例えば、ある種の昆虫は紫外線を、見ることができるから、人間には「白」と見えるものも、紫外線を反射しない「色」は「白」には見えないだろう。「白」とは目に見える全ての光が混じったものなのだから。でも、雪、はきっとそんな昆虫にも「白」になってみえるのではないだろうか。雪は紫外線も反射するに違いない。そうなれば、絵の具の白とは異なって、降り積もった雪はどんな生き物にも「純白」にみえるのではないだろうか。
 雪の白さは絵の具の白さよりもまさに本当の「白」そのものに見える。それは、本当の白、どんな生物が見ても白に見える白だからではないか?つまり、雪こそが本当の白、なのだ。もっとも、人間は昆虫にはなれない。昆虫の目から見た雪景色、それはやっぱり純白なのだろうか?それとも?別の色?

  雪の結晶


○インタラクティブ・サイエンス・コラム・メイル1998/1/25(購読者:1031名)
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