よく考えて見ると体の大きな動物には足が太いものが多い(サイとかカバ)。一方、体の小さい動物は足が細いことが多い(ネズミとかウサギとか)。どうも体が大きくなるとそれに応じて足も太くなっていくようだ。これにはちゃんとした理由がある。動物の足、はまず何をおいても自分の体重を支えなくてはならないが、この体重は体の「体積」に比例する。一方、足の強さは足の太さ、つまり、「面積」に比例する。体の大きさが2倍になると体重は8倍になるが、足の太さは4倍にしかならない。これでは足が折れてしまう。そこで、体が大きくなるほど相対的に足が太くならざるを得ないわけだ。こういう理由で体が大きい動物ほど、足は太くなる。かくして、カモシカの様な足をしたゾウは決してあり得ないことになる。
SF映画などに、車ほどの大きさのクモが出て来るがこれなんてこの「方則」に反している。クモの体は皮膚である殻によって支えられているので、車サイズのクモでは殻が厚くなりすぎて身動きが取れなくなってしまうからだ。
この「方則」は動物だけじゃなくて植物にもあてはまる。庭や公園に行って草木を見てみよう。背の高い草木ほど幹が「太い」ことに気づかないか?まだ、先の話だけれど、今度の夏休みの自由研究に「樹木の高さと太さの関係」なんてのもいいかもしれない。
さて、「諸物ノ方則」という題で記事を書く事になったのだが、この「方則」は「法則」の間違いではない。昔、寺田寅彦という偉い物理学者がいて、彼はことのほか「方則」という書き方が好きだった。彼が追求したのは身近ないろいろな事物に存在している様々な諸「方則」。この連載ではそんなことを書いて行きたい。寺田についてはまた語る機会もあろうと思うが、今日はこれまで。